ADRは、Alternative Dispute Resolution の略語。「裁判外紛争処理」と訳され、裁判によらない紛争解決方法をいう。
紛争解決のために行政機関や民間機関が行なう斡旋、調停、仲裁などがこれに該当する。そのほか、裁判所で行なわれる民事調停・家事調停、訴訟上の和解もこれに含まれるとされる。
ADRの特徴は、紛争当事者の自主的な努力を尊重し、専門的な知見を反映して、紛争の実情に即した迅速な解決を図ることにある。
不動産紛争に関しても、いくつかのADR機関がその役割を果たしている。主なものとしては、
1.(独)国民生活センター紛争解決委員会
2.指定住宅紛争処理機関(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)により指定される機関で弁護士会が指定されている)
3.ADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)によって認証された民間ADR機関
4.(一財)不動産適正取引推進機構による特定紛争処理事業(ただし、紛争当事者が直接に申し立てることはできず、一次処理機関から申請があった紛争が対象)
なお、民間賃貸住宅をめぐって多様な紛争が発生しているが、その円滑な解決のためには専門的な知見が必要となる場合が多いことから、ADRを活用することが有効であると考えられている。