双務契約において、一方の債務の履行が責めに帰すことができない事由によって不能となったときに、他方の債務をどのように扱うかという私法上の問題をいう。
これについては、民法で、債務者が危険を負担すべきとされている。つまり、債務が履行できなくなったときには、債権者は反対給付を拒むことができる。これは、双務契約では給付と反対給付とがその存続に関して相互に関連しているから(存続上の牽連性)、一方の債務が消滅したときには反対債務も当然に消滅させる(反対債務者を拘束から解放する)のが適切であると考えられているからである。たとえば、やむを得ない事情で欠勤したときに欠勤者は賃金を請求できない。
なお、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)以前は、不動産のような特定物の物権移転については、債権者が危険を負担すべきと定めていたが、この規定は削除された。