都市空間の形成とその利用に関する規律を定める法律体系をいう。複数の法令の集合であって、「都市法」という法律が制定されているわけではない。また、具体的にどの法令が都市法を構成するかについてはいくつかの見方がある。
都市法は、近年発達してきた法分野であり、おおむね次のような法令群を含むと考えられている。
第一は、都市計画法、建築基準法などのような、主として都市空間の形成を公共的にコントロールするための法令群である。この分野には、街路等の都市施設、市街地再開発事業等の都市整備事業などに関する法令、都市景観の保全、都市の低炭素化等の都市環境に関する法令なども含まれる。
第二の分野は、都市活動を主として空間利用の視点からコントロールするための法令群である。住宅の供給・取引、建物管理、都市交通などに関する法令がこれに該当する。不動産に関する法令の多くや民法の相隣関係規定などもこの分野に含まれる。
第三の分野は、都市自治に関する法令群である。たとえば、市民参加、コミュニティ活動、安全確保などのような、都市に特有の公共性を律するための法令であり、地方自治制度と密接な関係にある。もっとも、この分野は都市空間との関係に濃淡があって、都市法に含めない考え方もある。
なお、歴史学(特に法制史)においては、「都市法」は、中世ヨーロッパの自治都市において発達した都市の特権や都市統治に関する法制度をさす用語であることに注意が必要である。