物体などが自由な状態で振動するときに、その物理的な性質によって決まる固有の振動数。固有振動数による振動は、一旦始まると、外力を加えなくても継続する。また、物体にその固有振動数で外力を加えると、振幅(揺れの大きさ)が増大する(共振)。
固有振動数は、物体の質量(重さ)が大きいほど小さく、剛性(硬さ)が高いほど大きい。
建築物にも固有振動数がある。地震によってその固有振動数の振動が加わると、建築物が共振し、大きな揺れが生じる。低層で剛性が高い建築物は、固有振動数が大きいため、短い周期の振動が多い直下型の地震で大きな被害を受けやすい。一方、高層で剛性が低い建築物は、固有振動数が小さいため、長い周期の地震動(減衰しにくく長距離まで届く、大規模な地震に多い)で被害を受けやすい。
建築物の免震構造は、振動の減衰を大きくするとともに、固有振動数を地震動の一般的な振動数より小さくすることによって、地震による揺れを小さくし、共振を防ぐ仕組みである。